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【迷子猫見つかりました!】
協力への恩返しは次の人へ。
“幸せのループ”を呼ぶ
迷子猫捜索。

SHALL WE ドコノコ?〔第6回〕

ドコノコ5周年企画
[SHALL WE ドコノコ?]
〜ドコノコのたのしみ方〜

犬猫SNSアプリ「ドコノコ」は2021年6月5日に、
5周年を迎えます。
この5年のあいだに、アプリは30万ダウンロードになり、
たくさんの方にたのしんでいただいています。

遠く離れていても、ドコノコの中で友だちができて、
なでなでがわりの「♡」をしたり、コメントしたり。
健康面やごはんの相談をしたりされたり、
いっしょにお出かけするような仲になったり。
迷子捜しのお手伝いをしたり。
ご近所友だちになったり。
日々、うちのコの記録をつけるのに
役立ったりもしています。

「ドコノコ」ってこんなアプリですよ。
ということを、
ちょっとあらたまってお伝えする連載です。
6月5日から1週間ほど、毎日更新していきますので、
ドコノコをたのしんでいる方も、
まだはじめたばかりの方も、あんまりやっていない方も、
よければお付き合いください。

迷子捜しレポート〔第6回〕

ドコノコ迷子掲示板には、
毎月200件を超える迷子の犬や猫の登録があり、
今も各地で、
飼い主さんとご近所のドコノコ・ユーザーさんが
迷子を捜しておられます。

今回の主人公、迷子猫ロキが保護されたのは
脱走から10日目のこと。
何度も心折れかけた飼い主さんの支えとなったのは、
ドコノコ仲間やご近所さんの励ましと捜索協力でした。
助けてもらった恩返しは次の迷子猫へ。
そこには“幸せのループ”が生まれています。

ドコノコが、みなさんの迷子捜索のお役にたてますように。

(ライター:Dolly こと 岡部充代)


迷子猫捜しレポート

2021年4月28日、
猫のロキが神奈川県横浜市のtepaさん宅から
脱走しました。
来客中、別の部屋にいたのですが、
窓をちゃんと閉めたか心配になったtepaさんが
部屋をのぞきに行くと‥‥
脇をすり抜けて飛び出して行ったそうです。

1時間半ほどで庭に戻って来たため、
フードを使って家に招き入れようとしましたが、
庭や縁側に撒かれたものをひとしきり食べると、
再び走り去ってしまったとか。
もともと地域猫で推定1歳弱のときに保護されたロキは、
tepaさんの家に来てから一度も外に出たことがありません。
完全に想定外の脱走でしたが、tepaさんは迷子捜しで
最も重要とされる“初動”をかなり的確に行っていました。

まずロキを譲渡してもらった人に一報を入れ、
指示を仰いで区役所へ迷子猫の登録、
次に警察へ遺失物届を提出し、
地域猫のボランティア活動をしている友人から
捕獲器を借りて庭に設置しました。

と同時に、犬猫写真SNSアプリ『ドコノコ』に
ロキの迷子情報を投稿。
ドコノコには「迷子掲示板」という機能があり、
掲示板を作成すると位置情報を利用して半径4km圏内に
いるユーザーに通知が届くシステムになっています。
そこで写真や地図を共有して迷子捜しの協力を
呼びかけることができる「参加型迷子掲示板」なのです。

すぐにチラシも印刷し、ポスティングしながら
ご主人と一緒に徹夜で近隣を捜索したtepaさん。
数軒先の家の庭や空き地で目撃することはできましたが、
こちらが動くと逃げる、の繰り返しだったようです。

1歳近くまで屋外で暮らし、
しかも保護の際には捕獲器も経験しているロキですから、
捕まえるのは容易ではありませんでした。

そんな中、
ドコノコの迷子掲示板には続々とフォロワーが集まり、
迷子捜しのポイントや
tepaさんの体を労わるメッセージなどが書き込まれました。

飼っている犬や猫を迷子にすると、
飼い主さんは自分を責めてしまいがち。
「お腹をすかしていないか」
「雨風しのげているか」
「事故に遭っていないか」‥‥ 
時間の経過とともに心配は増しますし、
体力よりも先にメンタルが追い込まれることが多いものです。
ただ、それは迷子捜しにとってマイナスでしかありません。
飼い主さんが必死になればなるほど、
悲壮感が声のトーンや態度に表れ、
かえって犬や猫に警戒させて
遠くに行かせてしまう可能性が高いのです。
ロキの迷子掲示板への書き込みで一番多かったのは、
実はtepaさんが焦っているときの
「リラックスして」「肩の力を抜いて」というアドバイスでした。

迷子チラシのポスティング協力を申し出てくれたり、
現場に足を運んで捜してくれるユーザーさんもいました。
それがどれほど心強く、ありがたいことか。
Tepaさんは掲示板に揺れる気持ちを包み隠さず投稿していました。
それがフォロワーさんたちの共感を呼び、
「協力したい」「力になりたい」と思わせたのでしょう。
何度も心折れかけては励ましの言葉に勇気づけられたtepaさんは、
実感を込めてこう投稿しています。

「SNSって、本当にその先にはヒトがいるんですね」(原文まま)

5月になってもロキの捜索は難航しました。
捕獲器の設置は続けたものの、
捕獲経験のあるロキは入ってくれず。
目撃情報があっても近所にいるロキそっくりの猫だったり、
tepaさん自身が目視できない日もあり
心がかき乱されました。
でも、立ち止まってはいられません。
5月1日にはかかりつけの動物病院へ
迷子チラシを持って報告に行き、
近隣で保護猫活動をしている人を紹介してもらいました。
すぐに電話を入れると、
捜索を手伝ってくれるという、うれしい申し出があったそうです。

ロキを目視できた場所での餌付けを始めたのは、
脱走から6日目の5月3日のことでした。
時間はいつも家でごはんをあげていた夜7時。
このことを掲示板に投稿すると、

「ゴハンを置くにあたってアリが群がるのなら
ゴハン茶碗より少し大きめの浅い器に水をはり
中に陶器などの浮かない器に入れると多少防げますよ」
(原文まま)

というアドバイスが寄せられました。
フォロワーの中には猫の生態に詳しい人、
自身の猫が迷子になった経験のある人、
迷子捜しに協力したことがある人など
“エキスパート”がたくさん! 
tepaさんの投稿に対して
「すべきこと」
「したほうがいいこと」
「してはいけないこと」
が適切に助言され、
捜索の指針になっていきました。

餌付けをきっかけに事態が動き始めます。
4日にトレイルカメラを設置し、翌朝映像を確認すると、
ごはんを食べるロキの姿が! 
この報告にはフォロワーみんなが歓喜の声を上げました。
tepaさん自身も少し心に余裕が生まれたのか、
5日の投稿には

「今日は出勤。朝トレイルカメラで
ろっちゃんの動くところを確認出来たので、
落ち着いて仕事できた」
(原文まま)
とありました。

ちょうどその頃、
ロキと同じ日に脱走し、無事家に帰ることができた
猫の飼い主さんがフォロワーになり、
最新の保護経過を教えてくれました。
また、近所に協力者が増えたことも
tepaさんが落ち着ける要因になったようです。
6日朝のカメラチェックでは
ロキの姿を確認できませんでしたが、
tepaさんは冷静なコメントを残しています。

この落ち着きと冷静さがロキに伝わったのでしょうか。
7日朝5時の捜索で目視することができました。
場所は餌付けしていた所よりも家に近い駐車場。
触れそうなほど近くまで来たそうですが、
ここで慌ててはいけないと静かに見守りました。

そして出勤前に「ヘンゼルとグレーテル作戦」を敢行。
目撃場所から家の庭までカリカリフードを1粒ずつ、
1m間隔で置くというものです。

帰宅後、カメラ映像を確認すると、食べていたのは“そっくりさん”
でしたが、気を取り直していつもの時間に家の庭にごはんを準備。
目印になるようにとフェンスの隙間に1粒置こうとしたその時です! 
フェンスの下を1匹の猫が通り抜けて行きました。
一瞬の出来事でしたが、ロキだと直感したtepaさんは
家の中に誘導するべく慎重に行動します。

まず、窓のすぐ内側にフードを1粒、
そこから1mおきに隣の部屋までフードを並べました。
庭を見ると、
フェンスの隙間から家の様子をうかがっているロキ。
Tepaさんは窓の横で待機しましたが、
警戒されないようくつろいでいる風を装ったと言います。
ここでもフォロワーさんからの助言が生かされました。
のちにtepaさんは

「今ダメでも今夜も明日もあると思えた」
(原文まま)

と振り返っています。

次はフードをお皿に落として、その音を聞かせてみました。
すると、
ロキは庭に入ってきてお座り。
用意していたお気に入りのボールで
トントンと音を鳴らすと、
さらに近づいてきて室内1つめのフードを取り、
庭に持って出て食べてくれました。
その後は家の中に半身入っては出る、を繰り返し、
次は部屋の真ん中くらいまで来て食べては出る、の繰り返し。
何ともじれったいですが、
隣の部屋に入るまで窓は閉めないと決めていたtepaさんは、
決して手を出さなかったそうです。

入る、出る、入る、出る‥‥
ようやく隣の部屋に後ろ足が入り
窓を閉めることができたのは、
ロキが庭に現れてから40分後のことでした。

「確保‼️‼️ 捕まえました‼️‼️‼️
本当に本当にありがとうございました‼️
詳しくは後でちゃんと報告します」
(原文まま)

失踪から10日、
5月7日21時12分、
ロキの迷子捜しが終わったことを告げる投稿がされました。

多くのフォロワーさんたちに支えられたtepaさんは、
どうお礼すればいいのかと考えていましたが、
もちろん誰もそんなことは期待していません。
一人のフォロワーさんはこんな風に伝えました。

「この先にあなた様が他で協力してあげることが
1番だと思います。
いつか誰かが困っていたら出来ることをするだけで
恩返しになりますよ」
(原文まま)

ドコノコユーザーは日頃から、
犬や猫を通したやりとりでつながっています。
SNS上の付き合いだから
大半の飼い主さんどうしは会ったことがないけれど、
犬や猫の顔と名前、時には性格までよ~く知ってる。
そんなコが迷子になったら、
力になりたいと思うのは必然です。

ドコノコを楽しんでいる人がご近所に増え、
だんだんと地域の犬や猫が「知り合い」になって、
病気のときには心配し、
災害のときには助け合い、
迷子になったら駆けつける。
そして、助けてもらった恩返しは次の人へ。
そんな“幸せのループ”ができるって、
素敵じゃないですか?

もちろん、
SNSで助けを求めただけで迷子が見つかるわけではありません。
tepaさんは必要なところへ必要な報告・届出をし、
迷子チラシをポスティングしながら地域住民と情報を共有、
地域猫や保護猫のボランティア活動をしている人たちにも
幅広く協力を求めました。
「ロキを見つけて連れて帰りたい!」
tepaさんの強い気持ちが伝わったからこそ、
みんなが協力してくれたのです。

足を使い、かつSNSも大いに活用しながら
ロキの保護に成功したtepaさん。
“事件”解決の数日後、迷子掲示板にこんな投稿をしていました。

「本当に私はラッキーでした。
身近に捕獲器を持っている人がいて、
それを家まで届けてくれる人がいて、
会社に来なくて良いって言ってもらえて、
ドコノコで助けてもらえて、
近隣にも優しい人しかいなくて‥‥
嫌な思い、一度もしませんでした。
恵まれてたなってしみじみ」
(原文まま)

このような温かいつながりが日本中に生まれれば、
迷子猫・迷子犬はきっと減ります。

ちなみに、おうちに帰ったロキは甘えん坊に変身! 
「触ってもいいよ」と
自分からtepaさんに近づいてくるようになったそうです。