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どうぶつオンライン診療って
なんだろう?
『ペットドクター』花房獣医師インタビュー

このごろよく耳にするようになったオンライン診療。
人だけでなく、犬や猫の本格的な
オンライン診療もはじまるそうです。
はたして、どうぶつのオンライン診療とは?
病気とのつきあい方は変わっていくの?

新しいサービス『ペットドクター』を立ち上げた
株式会社ノーススターの花房さん(獣医師さん!)に
ドコノコチームのタナカとゆーないとが、
お話しをうかがいました。
ドコノコユーザーのみなさんへの
お試しキャンペーンも実施しますので、
最後のお知らせをチェックしてくださいね。

ペットドクターのオンライン診療。

――:
本日はどうぶつのオンライン診療をはじめられた
ノーススターの花房さんにお越しいただいてます。

花房:
こんにちは。よろしくお願いします。

――:
そもそもオンライン診療「ペットドクター」とは、
どんなサービスなんでしょうか?

花房:
獣医師がLINEのビデオ通話で
どうぶつの診察を行うものです。
状況に応じて薬の処方も可能です。
一緒に暮らしている犬や猫の様子がおかしい、
いつも飲んでいるお薬がほしいといった場面で、
全国どこからでもご利用いただけます。

――:
お薬まで。
今回お話しをうかがうきっかけは、
ほぼ日乗組員の高田さんが、
花房さんと前職でいっしょだったというご縁でした。

花房:
はい。彼とは、子どものオンライン診療アプリ
『キッズドクター』
いっしょにやっていました。

――:
正直、最初ぼく(タナカ)は
あんまり乗り気じゃなくって。
数年前からどうぶつのオンライン健康相談サービスは
いつくか試してみたことがあるんですが、
「その症状からこれらの可能性があります」
といろんな病気を提示されるばかりで。
でも、「ペットドクター」のページを拝見したら、
小林先生が出てらして。

花房:
はい。

――:
小林先生には、
ドコノコのオフ会で健康相談をやっていただいたり、
東京都の動物病院へドコノコ迷子チラシがメールで届く
仕組みづくりにご尽力いただいたりと、
いつも相談に乗っていただいてたので、
すぐ電話して聞いてみました。
「あれね、今からの時代絶対くるよ」
って、競馬の予想みたいに。

一同:
(笑)。

花房:
当時、東京都獣医師会の副会長を務めていらした
小林先生とは獣医師として面識があったので、
「オンラインで、どういうことを
やろうとしてるのか教えてよ」
とお声がけいただいたところから
頻繁にお会いするようになって。

先生のお考えとして、
いまだに病気になったら動物病院に行くしかない
というのは時代遅れで、
スマホでも診察できる未来をつくっていかないと
飼い主さんの体験も、病院の経営も先がない。
やるなら臨床経験の浅い獣医師ではなくて、
現場での経験のしっかりある獣医師が、
どうぶつの状態や飼い主さんからの情報だけではなく、
飼い主さんの気持ちも汲んだ上でアドバイスできないと、
かえってどうぶつと飼い主さんが不幸になっちゃうよ。
って口酸っぱく言われました。
『ペットドクター』を構想するのにとても参考になりました。


▲オンライン診療をする小林先生。

――:
そうだったんですね。
犬や猫が具合悪そうな時、
なかなか動物病院には行きづらいのはあります。
病院が近くにあったとしても、
診療時間内に行けないとか、
待ち時間が読めないとか、
猫だったら通院がストレスになるとかありますし。
症状をネットで検索すると、もういっぱい出てくるし‥‥。

花房:
例えば「猫 嘔吐」で検索すると、
胃腸炎、腎不全、腸閉塞、腫瘍など
病気に関するものだけではなく、
毛玉の不快感や早食いなど、
病気ではないものもたくさん出てきます。
可能性としては確かにそれぞれあるんですけど、
獣医師の視点からだと
「この若さでこういう病気の可能性は低い」
と思えるけれど、広く出てきてしまうので、
しっかり調べている飼い主さんのほうが、
かえって不安になってしまうケースはありますね。

――:
花房さんは獣医師の資格を持っておられるんですよね?

花房:
はい、持っています。

――:
動物病院ではなく、なぜちがうお仕事を選ばれたのですか?

花房:
小学校6年生のときから、
動物病院でどうぶつたちを助ける
獣医師になることを目指してました。
大学で獣医学科に入って
動物病院でアルバイトをしていたときに感じたのは、
動物病院で働く獣医師さんは
本当にどうぶつのことが大好きで、
病院に来たどうぶつを治してあげたいと
一生懸命やっている。
飼い主さんのどうぶつとの関わり合い方の中に
原因があることもあるので、
しっかりと時間をかけて飼い主さんと向き合わないと、
症状はなかなか改善していかないこともあって。

それがわかっていても、
診察室で毎日たくさんのどうぶつを
診なければならない獣医師さんは、
飼い主さんへの指導や相談に応えたいと思っていても、
本当に時間が取れないんです。
でもやはり不安だから獣医師のアドバイスがほしい
と病院にいらっしゃる飼い主さんも多い。

病院での治療だけでなく、
飼い主さんが病気予防や未病治療に
取り組めるようになるためには
どうしたらよいだろうと考えるようになりました。
いわゆるプライマリーケア
(普段から何でも診てくれ、
相談に乗ってくれる身近な医師による医療)みたいなことは、
どの先生も大切だと感じていると思うのですが、
一般の動物病院の体制で取り組んでいくのは
どうしても難しい状況で、
自分も病院で臨床の道を選んだら、
やっぱりそうなってしまうと思ったんですね。
なのでなにか違うアプローチができないかと考えて、
多くの人に広く影響が与えられそうな
IT企業に就職することにしました。

――:
学生のときにそこまで考えるの、すごいですね。

花房:
それで家族を幸せにするアプリやウェブサービスを提供する
エバーセンス(ノーススターの親会社)に入社し、
子どものオンライン診療「キッズドクター」に関わり、
いよいよ自分が中心になってどうぶつのオンライン診療である
『ペットドクター』を立ち上げることになりました。

――:
オンライン診療って、動物病院からはどう思われてるんでしょう?
ライバルという見方もあるのかな?

花房:
オンライン診療の正確性に懐疑的だったり、
患者を取られるのではと思っている先生も
いらっしゃるとは思います。
ただ、ペットドクターとしては
「オンライン診療」ですべて完結できるとは思っていないんです。
夜間救急の獣医さんとお話することがあったんですけど、
忙しくて電話が取れない時があるし、
せっかく来院いただいても
緊急の処置が必要ない場合もある。
たとえば、夜間や休日に病院へ行くべきか悩んだら
まずはペットドクターの獣医師が症状を確認して、
受診の必要があると判断したら救急病院にきてもらえると
助かるというような話をされていて。

――:
なるほど。
病院に行く前に。

花房:
一般の動物病院でも、
獣医師さんは診療時間外はやはりちゃんと休む時間が必要で。
なので診療時間外に不安なことが起こったら
一旦『ペットドクター』を頼っていただき、
診察した情報をかかりつけ医に共有して、
後日かかりつけ医で改めて診察を受けていただく、
というような連携もしていきたいと思っています。

――:
対面の病院とオンライン診療がうまく連携することで、
飼い主さんの時間の制約や移動、
待ち時間のストレスが軽減できたらいいですね。

どんな相談が多いですか。

――:
オンライン診療を始める前は
LINEで飼い主さんからの相談を受けていたそうですが、
どういった相談が多かったですか?

花房:
やっぱり誤飲ですね。

――:
誤飲はほんとうにドキドキします。
ねこのヒモとか。
オンラインで相談されたら、どんな診療になるんですか?

花房:
まずはどうぶつの様子を画面越しに入念に観察しながら、
何をどれくらい食べたか、あと体重をお聞きして、
すぐに病院につれていくべきかのアドバイスをしています。
様子を見ても大丈夫という判断をした場合でも、
「〇〇という症状がでるようなら
近くの救急病院を受診しましょう」など、
様子を見るさいのポイントなどもお伝えするようにしています。

――:
それはちょっと安心できそうですね。
他にはどんな相談がありますか?

花房:
誤飲以外にも嘔吐、血便、
あまり食欲がないことなどに対する対処方法や、
今すぐ病院に行くべきかの判断の相談が多いですね。
急性ではないけど、日頃気になっている症状、
たとえば‥‥
首のあたりに小さなしこりができたとか、
病院へ行ったほうが良いか知りたいというのもあります。
「気になるけど、このくらいのことで
病院に行ってもよいのだろうか」
と躊躇されている飼い主さんは意外と多いですね。
ちょっとしたことで病院に行っていただいても
全くかまわないのですが、
やはりハードルが高いのかなと感じました。
今行っている治療に対する
セカンドオピニオンがほしいという相談もあります。

私も猫と暮らしているんですが、
以前咳をしていた時には不安になり、
知り合いの獣医師さんに
セカンドオピニオンをお願いしたので、
飼い主さんが不安になる気持ちは
よくわかります。
それから、海外に住んでらっしゃる
日本人の方からも相談がありますね。

――:
海外に住んでいたら、医学用語なんてわからないだろうし、
とても安心できそうです。

オンライン「相談」から「診療」へ。

花房:
2022年11月からオンライン相談としてはじめた
『ペットドクター』ですが、
2023年4月からオンライン診療に変わりました。

――:
オンライン相談とオンライン診療は、
なにが違うんですか?

花房:
薬の処方をするか、しないか。
オンライン相談はあくまで相談なので、
一般的な医療情報の提供や病院を受診したほうが良いかの
アドバイスしかできなかったのですが、
オンライン診療になって、
どうぶつの状態を観察したり
飼い主さんから情報を伺ったりしたうえで、
診察・診断を行い、薬を処方できるようになりました。

――:
処方された薬はどこで買えばいいんですか?

花房:
お薬はご自宅まで配送します。
ポストに届くので、お待ちいただくだけで大丈夫です。

――:
なんと! それはありがたいです。

花房:
これからは、今以上に飼い主さんが
気軽にわたしたちを頼れるように、
また対応する獣医師がより丁寧な診察を行えるように、
2023年夏頃のリリースを目標に、
アプリの開発を進めています。
今は診察のたびに病歴を問診票に記入いただいたり、
診察中に獣医師がお尋ねしたりしているのですが、
アプリでは飼い主さんのアカウントの下に
一緒に暮らす犬や猫の情報を登録していただくことで、
どうぶつごとに個別に病歴や健康状態の管理が
できるようになります。

――:
おお、ドコノコでいうところの犬猫ブックですね。

花房:
そうです、そうです。
それぞれの犬や猫のカルテのような履歴が残れば、
具合が悪くなったときの問診票記入の手間を減らせますし、
他の獣医師もこれまでの病歴が共有できるようになります。
病歴や健康診断の結果だけでなく、
体重や体型の変化まで把握できるようになれば、
より的確な診断ができるようになります。

――:
そうなると、うちのコのことを知ってくれている
オンラインでのホームドクターができるわけですね。
さきほど言われてたプライマリーケアに近づくんだ。

花房:
そうです。
緊急時の一次受けやセカンドオピニオンだけでなく、
病気の予防や未病治療のお役にたてるようになります。
普段から何でも診てくれ、相談に乗ってくれる、
飼い主さんにとって一番身近で頼りがいのある
ホームドクターのような存在になっていきたいなぁと思っています。

――:
その場合、獣医師さんを
指名できるようになるんですか?

花房:
指名できればいいと思う反面、
そうすると待ち時間が長くなるとか、
予約が取りにくいってことになってしまうので難しいところです。
自分の考えでは、「この先生に診てもらいたい」ではなく
「ペットドクターの先生に診てもらいたい」
と思っていただけるよう、
どの獣医師の診察も素晴らしいと感じていただけるような
獣医師のチームをつくっていきたいですね。

チーム内での情報の共有、
豊富な臨床経験、飼い主さんへの寄り添い力や傾聴力。
そういったものがオンライン診療で
信頼関係をつくっていくのにとても大事になります。
そのため、参加いただく獣医師とはしっかり面談を重ねて、
選ばせていただいています。
最低3年以上の臨床経験はマストにしているのですが、
それだけでなく、コミュニケーション力、
あとやっぱり人柄が非常に重要になってくるので、
オンライン診療は誰もができるものではないと考えています。

現在はフルタイム勤務だけでなく、
閉院時刻がはやい動物病院の獣医師も勤務していますし、
今後は育児中のママさん獣医師や、
海外在住の獣医師などに、
新しいワークスタイルを実現するために
『ペットドクター』に参加していただきたいなと考えています。

――:
なるほど、
できれば同じ先生に診てもらいたいっていうのはありますけど、
「予約がいっぱいで明日になります」
というもの困りますもんね。

花房:
一方、循環器とか、消化器とか、腫瘍とかもそうですけど、
その分野で深い知識と経験を持たれた
いわゆる専門医については、
指名制はありかなと思ってるんですね。

――:
そこをお聞きしたかったです。
人と違って犬猫の病院で、
循環器内科とか消化器内科とかないじゃないですか。

花房:
あることにはあるのですが、
良い先生がいても病院が家から遠くて
通院が難しいこともあるので、
そういった専門領域のある先生にもご参加いただき、
飼い主さんが指名できるようにしたいと考えています。

――:
これまで、飼い主さんの目線でお話をうかがってきましたが、
保護シェルターとか、預かりボランティアの方とか、
地域猫のボランティアの方たちにも、
オンライン診療って、良さそうですよね。
具合が悪そうでも、病院に抱っこして連れてくのが
むずかしいコも多いと思うので。

花房:
そうですね。気になる症状があれば、
ビデオ通話で様子を診させていただくことはできるので、
お役にたてると思います。
診察室ではなく普段の生活の中で
どうぶつの様子を診れることのほうがよい場合はありますし。
気になる症状が出た時に動画に撮っておいていただいて
送っていただくのもよいですし。
多頭をお世話されている場合は、
定期的に全頭ざっと様子を診ていくだけでも、
ずいぶん安心していただけるんじゃないかと思います。
病院に連れてい行きづらいいろいろな状況でも
使っていただきたいなぁと思いますね。

――:
近づけない猫でも、
ごはんが食べてる間に、
目やにの具合を録画したり、
ウンチの写真撮ってもらったりとか。

花房:
それこそ、世間話のように、
「最近どうですか?」って、
元気などうぶつの様子を定期的に見せていただいて
お話をするだけでも全然いいと思うんですよね。
「ご飯食べてますか?」とか、
「運動しっかりやってますか?」とか、
獣医師との接点を細かく持てると、
予防、未病治療っていうところに
少しずつ貢献できるのかなとは思っています。

――:
犬や猫のオンライン診療のみらいの話まで聞けてよかったです。
アプリがリリースされたら、また教えてくださいね。
今日はありがとうございました。


▲花房さんと愛猫の龍之介ちゃん。

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