7/18 SAT

いぬねこ取り分け
手づくりごはん

手づくりごはん〔第4回〕

こんにちは、ドコノコ・チームのタナカです。

「いぬねこ取り分け手づくりごはん」への
質問やご感想をお寄せいただきありがとうございます。

お寄せいただいた質問を
「スプーン1杯からはじめる 犬の手づくり健康食」
「スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食」
著者の浴本涼子獣医師にお尋ねしてみます。
今日も猫料理担当として、
本書を編集した山と溪谷社の宇川さんに
ご同席いただいております。

(浴本先生)
遅くなりましたー。

(タナカ)
こんにちは。
今、宇川さんと
6月27日に山と溪谷社さんが書店B&Bさんで開催した
「犬のための家庭の医学」刊行記念トークイベントの
話をしていたんですよ。
著者の野澤先生にタナカが
飼い主が聞きたい犬の健康と医学のはなしをお伺いする
という内容で。

(浴本先生)
じつは、わたしもオンライン配信のほうで
そーと見てたんですよ。

(宇川)
え、うれしいです。
言ってくださればよかったのに。

(浴本先生)
下北沢の会場まで行こうかとも考えたんですけど、
コロナの感染も心配なので、自宅からオンラインで。
おもしろかったですよ。

(タナカ)
後半は来場された飼い主さんからの質問で、
公開診察室みたいになってましたね。

(浴本先生)
他の先生がどうやって受け答えしてるのかって
参考になります。
あ、こういう言い回しをすれば伝わりやすいんだなって。
いろんな先生の診察室を隠しカメラで、
こっそり覗いてみたいですね。

犬猫に与えてはいけない食材とは?


(ドコノコ編集部へのお便り)
うちに犬と猫がいます。
犬と猫それぞれに与えてはいけない食材があると思いますが、
手づくりごはんは一緒に同じものを与えても大丈夫でしょうか?
犬は大丈夫だけど、猫はダメという食材はあるのでしょうか?


(浴本先生)
ふだん人がよく食べる食材のうち
犬に与えてはいけない代表的なもの、
NG食材を本で紹介しています。

(タナカ)
あ、NG食材って食べると下痢をするとか、
消化に悪いとかいうレベルの話ではないのですね。

(浴本先生)
そうです。
例えば、ねぎ類には赤血球を壊してしまう成分が
含まれているので、食べると貧血症状を起こして
最悪では死んでしまうこともあります。

ただ個体差があって、
飼い主さんが知らずに毎日玉ねぎ半分を与えていたけど
なんともない犬もいれば、
ハンバーグを一口食べちゃったりとか、
すき焼きの残り汁飲んじゃたりだけでも、
貧血になって病院に来る犬もいるんですよ。

(タナカ)
犬種による耐性の違いとかがあるんでしょうか?

(浴本先生)
そんなことを実験で調べる獣医師はいませんから
わかりませんが、
経験的には犬種ではなく体重差や個体差かなと思います。

(タナカ)
病院には、飼い主さんが玉ねぎを食べさせて
しまったと言って来られるんですか?

(浴本先生)
玉ねぎなんかだと、食べてから具合が悪くなるまでに
1日から数日かかることもありますから、原因がわからず
ぐったりしているので診てくださいというのが多いですね。
貧血になると下まぶたをめくった部分の粘膜とか
口の中とかが白くなるんで、ちょっと血液検査しても
いいですかっていって調べたらすごい貧血になっていて。
で、血液塗抹検査で血液を薄くのばして染色すると、
ねぎ類を食べたとき特有の症状が細胞にでているんですよ。

(タナカ 宇川)
へー。

(浴本先生)
それで、もしやみたいな感じで聞くと、
「じつは誕生日だったからハンバーグあげた。」とか。

(タナカ)
貧血になるのは内臓に問題がある場合もありますよね。
NG食材のせいかどうかの見当はどうやって
つけるのですか?

(浴本先生)
変なもの食べて具合が悪くなった急性の場合は、
全身状態的にそんなに毛艶が悪くてガリガリに
痩せていることはないのですね。
内臓疾患の場合は、全身状態がもっとよぼっとします。
そのへんで見当はつけていきます。

(タナカ)
いろんな動物病院で、食べてはいけない食材が
わかったときに共有するしくみはあるんですか? 
食中毒学会みたいな。

(浴本先生)
学会はないけど、これまで言われてきたことと
論文で新しく発表されたことなどをまとめた
ハンドブックはありますね。
「犬と猫の中毒ハンドブック」
食材だけでなく、
食べてはいけない植物とかも全部載っています。

(タナカ)
例えば、玉ねぎ食べて貧血になったときの
治療はどうするのですか?

(浴本先生)
食べた直後だと吐かせる。
病院に設備があれば胃の洗浄とかもします。
あんまり酷いときは輸血とかになるのですが、
骨髄はやられてないので、
骨髄が新しい赤血球をつくって増えるのを待つあいだ、
もちこたえるよう支持的治療をすることになります。

(宇川)
本を見ると、
犬が食べてはいけない食材と、
猫が食べてはいけない食材は、
ねぎ類、チョコレートは共通してますが、
その他はぜんぜん違うのですね。

(浴本先生)
そうですね。

(タナカ)
猫は魚介類が好物かと思ってましたが、
アワビやサザエ、イカやタコもだめなんですね。

(浴本先生)
生のイカを食べちゃった猫が腰砕けみたいに
なったのを診たことはありますね。
イカがもっている酵素が猫のビタミンB1欠乏症を
引き起こしてしまうようなのです。

(宇川)
知り合いの猫がイカを食べて入院したことがあります。
知らないあいだに食べて立てなくなって。

犬と猫では必要な栄養バランスも違う。

(タナカ)
最初の質問のお答えとしては、
犬猫の手づくりごはんをいっしょに作る場合は、
本に書かれている犬と猫のNG食材を全て避けて
ということですね。

(宇川)
犬と猫ではNG食材だけでなく、
必要な栄養バランスも違いますよね。
犬は肉・魚類:野菜類:穀類をおよそ1:1:1で、
猫は肉・魚類:野菜類:穀類をおよそ8:1:1 
または穀類をなくし魚類:野菜類をその分多めにですよね。

(浴本先生)
犬と猫それぞれのNG食材を避けるのは絶対です。
さらに犬と猫では食事の栄養バランスが同じでは
ないので、そこまで考えると犬と猫の手づくりごはんを
同じもので長期間賄うのはよく考えたほうがよいですね。

個々に観察しながら調整を。

もっとも、獣医師によっては、犬に必要な栄養バランスは
肉・魚類のタンパク質をもっと多めで50から60%くらいと
考えられておられるかたもおられます。
こうなると猫の栄養バランスに近づいてきます。
最近アメリカで栄養学を学んでこられた方の中には、
タンパク質多めで骨も食べましょうみたいな考えも
あります。
加工しないローフードがいいと聞いたこともあります。

人の食事もそうですが、犬猫の食事もこれが絶対だと
言い切れるものはないのかも知れませんね。
犬とか猫とくくるのも大雑把すぎるかも知れませんし。

食に関しては、いろいろと新しい研究もあり、
個々の体質の違いもありますので、
栄養バランスの基本をおさえ、NG食材は避け、
1歳のころの理想とする体型・体重を維持するように
観察しながらカロリーを調整していくことが
大切だと思います。

(宇川)
うちの猫はドライフードから先生の手づくりレシピに
替えたら、毛艶よくふわふわになりましたよ。
元気がない時は毛がべたっとしてるんですけど、
手づくりにしてからブラッシングをしなくても
ふわっとしていて触り心地が全然ちがう。
猫って水を飲まないじゃないですか。
だからカリカリだと水が不足しているのかなと
勝手な解釈をしてますけど。

今忙しくてカリカリのときが多いんですけど、
そうしたらまた毛がべたっとしてきて。
また手づくりをやるとふわふわになるんですよ。

(浴本先生)
うちの犬は毛艶がよくなったかどうかはわからないな。
でも涙やけはよくなりましたね。

先生は毎日手づくりですか?

(宇川)
先生、毎日手づくりごはんをつくってます?

(浴本先生)
えーとね、朝が手づくり。
夜は遅くてつくれないときもあるので、
トッピングまたはカリカリのみ。
最近はカリカリのみが多いかな。

(タナカ)
なんなんですか、おふたりとも。
手づくりごはんの話をさんざんしているわりには、
手づくりとフードが半々くらいなんですね。
うちもそうですけど。

人だってお惣菜の日はあるし、
インスタント食品の日もあるし。
人のごはんをちゃんとつくる時は、
犬のも取り分けでつくろうかなくらいな感じです。

(浴本先生)
それくらいが、ちょうどいいんですよ。

(タナカ)
ほんとですか?

(浴本先生)
続くんですよ。

▲タナカの犬の体重とBCSのメモ。時間をかけて少し痩せてきました。シニアだけどまだまだ元気に山登りをしています。ずっと元気でいてほしい。

今日の取り分けレシピ。
浴本先生おすすめの手づくりごはんレシピです。
人のごはんからのおすそわけや
取り分けがしやすいレシピになっていますので、
お気軽に試してみてくださいね。


「チキンのトマト煮」 
作るひと:タナカ


▲P102-103『スプーン1杯からはじめる 犬の手づくり健康食』(山と溪谷社)より。

 
うちの犬もシニアになったので、
カロリー控えめ、タンパク質多めで。
チキンのトマト煮は、人用によくつくっているので得意です。

鶏もも肉は皮と脂肪を取り除き一口大に。
トマトは安くて味の濃いプチトマトを使います。
アクを取りながら茹でればできあがり。

犬完食。
人はコンソメと塩、胡椒を足し、
パンにのせて食べました。


「ネバネバスープごはん」 
作るひと:宇川さん

▲P100 『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食』(山と溪谷社)より。

 
蒸し暑い日が続くので、今日は暑い夏のレシピ、
ネバネバスープごはんです。

材料は豚肉、オクラと赤ピーマンがなかったので
赤パプリカをみじん切りにして柔らかく煮たらできあがりです。
オクラでとろみがついています。

猫たちはスープが美味しいらしく、
まずはスープを舐めきってから具材を食べていました。

やや個性的な味の赤パプリカを
猫たちが食べるのか疑問でしたが、
豚肉やスープと一緒にちゃんと食べていました。

人は塩と胡椒で調味して、
パルメザンチーズをかけていただきました。

猫人ともに夏バテしないで暑い夏をのりきりたいです。


教科書は、山と渓谷社
「スプーン1杯からはじめる 犬の手づくり健康食」
「スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食」
浴本涼子獣医師 著


ちなみにこの本は、
健康な犬猫を対象としていますので、
療法食のレシピはありません。

「いぬねこ取り分け手づくりごはん」は
今回でおしまいです。
ご感想などありましたら、
下の「感想を送る」からお便りください。

●知っておいてほしいこと

・健康な犬猫を対象としてします。病気がある、療法食を食べている場合は、手づくりをはじめる前に獣医師に相談してください。
・健康な犬猫でも、手づくり食をはじめて不調が続くようであれば、獣医師の診察を受けてください。

(おしまい)