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ユーザーインタビュー
小林マナさん(2)

おとなドコノコ〔第2回〕

おとなドコノコotona dokonoko

雑誌『おとなスタイル』さんとの共同企画「おとなドコノコ」。 テーマは、50代のおとなスタイル世代と同じ 『ちょっとおとなの犬や猫との暮らし』。 年齢を重ねた相棒たちの愛おしさはもちろん、 暮らしの工夫や健康対策、生活の中の「ちょっと困ること」や 「知りたいな」を雑誌とウェブサイト、ドコノコでご紹介していきます。 http://otona-stylemag.com/posts/news/18649.html

お話しを伺ったのは、
インテリアデザイナーの小林マナさん。
第1回はこちらです。

第2回 老犬の魅力。

<自称「老犬マニア」>
いままでに小林さんが預かった老犬は、4頭います。
そこに仔犬が2頭(現在はすでにそれぞれに
あたらしい家族のもとで暮らしています)。
老犬たちをご紹介します。

タケ

「タケは、福島から来た被災動物。
13歳という年齢で我が家に来たので、
一生面倒を見るという覚悟で、引き受けました。
けれど、預かって7か月後に、
残念ながら急に調子が悪くなって旅立ちました。
救急動物病院に福島の家族も
急遽上京してもらい一緒に看取れました。
よく計算してみると15歳かもしれないと
福島のお母さんが言い出して、
“15歳だったら大往生だったね”と話ができたことが本当に良かったです。

はじめに預かったタケがすごくすてきな犬で。
歩いてるだけで、いろんな人から声をかけられる、
あんなすてきな犬と一緒に過ごせて、
とってもうれしかったです。
タケが亡くなってから、ミグノンに行ったら、
ヨレヨレでぐしゅぐしゅのコがいっぱいいました。
元気だったり個性的なスーパースターは、
きっと引き取ってくれる人がいる。
だから、わたしはヨレヨレでぐしゅぐしゅのコを、
せめて最後はヒトの家で過ごさせてあげたい
と思って、やっています」

ココ

「体が硬く、無反応で頑固なおばあちゃんの柴犬でしたが、
徐々に心を開いてくれて無事正式譲渡されました。
2015年1月〜2016年3月までウチにいて
一緒に過ごしました。
もらわれると思ってなかったので、うれしかったです」

うえしたくん

「中型の大きめだけど、ガリガリの雑種でした。
尿はずっと垂れ流しです。
シートの上にベッドパッドを敷いていました。
びしょびしょになると嫌がるので、ベッドパッドで。
ボランティア仲間さんがベッドパッドを作ってくれたので、
洗い替えにして、使って洗って、使って洗って。
おむつは、家の中を歩くときだけです。
うちに来てからは、おむつの時間が短くなったことで、
おむつかぶれもなくなりました。

はじめはぜんぜん歩かなかったけど、
少しずつ散歩をするようになって。
少しは、たのしんでいたようでした。
ごはんも食べないし、とにかくガリガリで。
うちに来てから少し太ったけど、
ある日、突然起き上がれなくなりました。
車でミグノンクリニックに連れていったら、
ずっと腎臓が悪かったんですけど、
生きているのがふしぎなくらいの数値だったみたいです。
今夜が山だろうと言われてから4日くらいもって、
ミグノンで亡くなりました」

チョコ


▲うえしたくんと、チョコが
同じ時期にいるときも。

「もう3年、一緒に暮らしています。
小さいのでいつも子犬に間違われます。
目もあまり見えていないけど、少しお散歩もするんですよ。
いまは、チョコで本当の介護を経験しています。本当に大変。
一軒家に引越して良かったです。
毎晩ありえない声で泣き叫びます。
普通の家庭の人はどうしてるんだろう‥‥。
鎮静剤ももらったのですが、
それを飲ませるとぐったりして
一日起きないときもあったりして‥‥。
今は、飲ませず鳴きたい時に鳴かせています。
次の子も預かろうと考えているのですが、
チョコの状態が安定しないので、チョコだけみています」

<ボランティアが続く理由>
老犬を預かることはもちろん、
小林さんは、どうして老犬の
預かりボランティアを続けられるんでしょうか?

「もちろん、心が折れることもあります。
でも、小さいときから、動物には支えられてきたから、
その恩返しの気持ちかな。

老犬には老犬の魅力があるんですよ。
時間軸がぜんぜんちがうから、びっくりします。
チョコは3歩歩いているのに、わたしは1歩も歩いていない。
わたしは忙しく暮らしていて、
老犬のような時間軸を持っていなかったので、
パントマイムのような動きに、感心しています(笑)。
後ろ足が悪くなってしまったので、
前足がどんどんマッチョになっていって、
逆立ちちゃうんじゃないかな(笑)。
って、笑える。
そういうところも、含めてすべて愛おしい。
色も白くなってきて、どんどん神々しい感じですね。
ミグノンではみんな老犬のことを
「妖精」と呼んでいるんですけど、
この世のものとは思えない、おもしろさがあります。
元気な犬は、「物体」なんですよね。
老犬は、「ふわふわのもの」。状態。
とっても穏やかだし、とにかくびっくりの連続です。
老犬にこういう気持ちを抱くようになるとは
思ってなかったです。
実家の犬も、わたしが家を出てから介護をしていたので、
知らなかったんですよね。
ときどき、お世話には行ってたんですけど、
ちゃんとは味わってなかったので。


▲妖精。

人間もそうですが、
年を取るとやはり急に体調が悪くなることがあります。
ご飯をちょっと食べないな、おしっこが少ないかも?
あれ? と思っている間に、
具合が悪くなってしまうことがあります。
そういう基本的な部分は
できるだけ毎日チェックするようにしています」


▲うえしたくんの下を、チョコが通る。というか、つっかえる。
老犬同士は、こういうことが起こります。

小林さん、ありがとうございました。
「老犬マニア」として、またおもしろいエピソードを
教えてくださいね。

小林さんのインタビューは、
おとなスタイルのブログにも掲載されています。
すてきなインテリアのお話しや、
避難バッグのことなども載っていますので、
そちらもぜひご覧になってくださいね。


小林さんのブック

小林マナさんプロフィール
設計事務所ima(イマ)として、旦那さんの小林恭さんといっしょに
マリメッコの店舗デザインをはじめ、
物販、飲食のインテリアデザイン、
プロダクトデザイン、住宅建築などを手がけている。