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2019年台風19号のとき
どうしてた?
アンケート報告

こんにちは、ドコノコ・チームのタナカです。

9月1日は「防災の日」。
毎年台風の多いこの時期に、
防災への備えを怠らないようにとの想いを込めて
1960年に制定されたそうです。

来なくていいです、と断っても毎年台風はやってきます。
この原稿を書いている最中にもゲリラ豪雨がやって
きました。
雷すごいです。

台風による豪雨災害には、
もしもではなく、
いつものこととして備えておきたいですね。

2019年10月に日本に上陸した台風19号は、
関東地方や甲信地方、東北地方など広い地域に
豪雨による被害をもたらしました。

犬猫と暮らしている多くの方が
その時どうしていたのか、
これからどう備えていけばよいか、
「台風19号のときどうしてた?アンケートのお願い」
の集計結果をもとに、
NPO法人アナイスの平井さんに解説をしていただきます。

(ご注意)集計データについて:
今回の調査はウェブアンケートに回答できる方で、犬猫の災害対策に意識が高い方を対象に回答をいただいています。全回答者数(1,516名)には、避難が必要だった地域にお住まいであっても、PC・スマートフォンをお使いにならない方の回答は含まれていませんし、台風の進路から外れていて避難の必要がなかった方の回答も含まれています。
したがいまして、設問によって回答のパーセンテージは、同じ条件下での比較にはならないため、参考値としてごらんいただきますようお願いします。

「台風19号 動物避難の状況調査」抜粋
・実施期間:2019年12月11日~2020年1月11日
・全回答数:1,516

(アナイス 平井さん)

質問1「台風19号により避難されましたか?」
という質問に対し、

「ペットとともに避難所以外の避難場所に避難した」という回答が
74件あったことに注目してください。
仮に避難所がペット不可だったとしても、
「避難先を確保して避難した」という、
備えをしておられた飼い主さんたちです。


自主避難中のおせん

質問2「避難しなかった方に質問です。避難しなかった理由は?」
の回答では、

「避難所がペット不可だと知っていたから」、
「避難所に行ったけれどペット不可だったから帰宅した」、
「指定された避難所以外の避難先が見つからなかった」、
「避難しなければと思ったときには、
すでに風雨が強くなっていたのであきらめた」
という回答が181件もあることが気になります。

豪雨や台風などの災害は地震と違い、
天気予報等であらかじめ被害の可能性を
知ることができるのが特徴です。
自分の住む場所の被害想定(ハザードマップ)を
平時に確認しておき、
避難所以外の避難先も見つけておくことで
対策できますし、
暗くなる前、被害が大きくなる前に避難行動を
とることは可能です。

質問3「避難を検討した際の『避難所のペット受入れの可・否に関する情報』について」
の回答では、

「避難所のペット受け入れに関する情報をどこでどのように得たらいいかわからず困った」
という回答件数が202件。
この回答は質問2の回答とも連動します。
ひどくなる風雨に不安を感じ、避難したいと思ったけれども、
すでに夜遅く、自治体の問い合わせ窓口が閉まっていて、
相談先も見つからない、という状況です。

事前に自治体の電話で問い合わせた方もいらっしゃいます。
災害時の避難について、あらかじめ自治体に確認をしておき、
仮に「ペットの受け入れは不可」という回答だったとしたら、
その時には避難所以外の避難先を見つけておくことが大事です。

そして特に注目していただきたいのが、
質問4「ペットとともに避難できた方に『ペットを避難させた場所』についてお伺いします。」
の回答です。

避難所以外の避難先として、
・早めに実家や親類、知人宅に避難した。
・同じ犬種を飼っている友人宅に避難した。
・安全な場所にある知人の倉庫等に犬猫とともに避難させてもらった。
・犬猫とともに、安全な高台のコンビニエンスストアや夜間も営業している立体駐車場の上階に車で避難した。
・マンションの上階に避難した。
・高台のペット宿泊可のペンションに家族で宿泊した。
など、ご自身の判断で行動し、
避難所以外の避難場所を確保され、
適切なタイミングで避難した方が
いらっしゃったことがわかりました。
この準備、判断、行動力は素晴らしいと思います。

質問5の「避難所内でのペットの居場所」
では、

少ないながらも、
犬猫同行者のためのスペースが用意されたケースが9件ありました。
避難所でのペットの受け入れは、避難所運営組織の判断になります。
また、アンケート外の報告によると、風雨がしのげる自転車置き場や
駐車場に犬猫を受け入れ、そこに飼い主が一緒に避難した事例もあります。
このように犬猫を受け入れる避難所、臨機応変に対応できる避難所を
増やしていくために、普段から町内の行事や避難訓練に参加するなどして
地域住民とのコミュニケーションをはかり、犬猫と暮らすことを
地域社会に受け入れてもらえるようにすることも災害対策の一助になります。


防災訓練中のララ

質問6「ペットをどのような方法で避難させましたか?」
に対し、

「ケージなどは持って行かなかった」という回答が8件ありましたが、
小型犬や猫については、ケージに入っていることで受け入れの
ハードルも下がります。
緊急を要する避難や、大型犬の場合、ケージ類を持ち出すことが
困難な状況もありますが、災害時の避難用品に、
ケージ類を備えることやケージに入ることに慣れておく練習も、
災害時の同行避難のポイントになります。


同行避難訓練中のなお

まとめ
避難の形は一つではありません。
避難所以外にも安全な避難場所はあります。

ご自身や家族の命を守るために、また犬猫を守るために、
複数の避難先を確保しておき、A案がだめならB案、C案と、
できる限りの対策を準備しておきたいです。

そして状況に応じて、早めに動くこと、
暗くならないうちに行動されることをお願いします。


(タナカからのお願い)

豪雨災害のペット同行避難について
(1)今のうちにやっておきたいこと
①ハザードマップの確認
今いる場所が、浸水、河川の氾濫、土砂災害の想定区域
なのかどうか、また浸水の高さが何メートルかのかを
事前に知っておくことは大事です。
例えば、浸水の想定水位が2メートルでマンションの3階に
住んでいるなら、自宅避難という選択肢もあります。
 
ハザードマップの水害リスクの確認は、
自治体ホームページの防災ポータルで確認できるところが
多いようです。
また最近は防災アプリを活用している自治体もあり、
ハザードマップだけでなく、
リアルタイムな状況や指定避難所の開設状況などを
わかりやすく見ることができますので探してみて
ください。

▲「東京都防災」アプリ>防災マップ>水害リスクマップ>荒川洪水浸水想定区域図

②避難する場所の候補を決めておく
水害リスクに応じて、
・指定避難所
・在宅避難
・マンションの上の階への垂直避難
・実家や親戚宅
・友人・知人宅
指定避難所の運営は、行政ではなく町内会や自治会が
行いますので、犬猫の受入準備があるのかどうか
事前に確認しておきたいです。

(2)豪雨が近づいてきたら
避難勧告が発令されると自治体が指定避難所を開設します。
すべての指定避難所が開設させるわけではないので、
自治体のホームページや防災アプリなどで確認します。
犬猫を連れての避難は時間がかかるので、
避難勧告 レベル3(高齢者など避難)が発令されたら
避難を始めたほうがよさそうです。

災害になってからでは、
指定避難所が犬猫を受け入れてくれるかどうか
確認することは困難になります。
まず電話がつながりません。
つながったとしても、ほとんどの場合わかる人がいません。


避難中のらぽ

先に避難所に行って同行避難できた飼い主さんは、
ドコノコなどのSNSで受入状況を発信してくだされば
助かります。

自分が今いる○○避難所は、
・ペット受け入れ可
・ペット受け入れ不可
・屋内分離可
・屋内同居可
・昇降口可
・自転車置き場可
・軒先可
・その他敷地内施設可
・校庭避難可
・校庭車中避難可
というように、現状を発信することが、近隣のドコノコ仲間との
共助につながります。


●もっと詳しく備えたい飼い主さんのためのお薦め書籍
「猫と一緒に生き残る防災BOOK」
「犬と一緒に生き残る防災BOOK」

●2018年9月 平井さんとの対談
「ペットといっしょに逃げるには。」

●お役立ちリンク集
「人とペットの災害対策ガイドライン」(環境省 平成30年3月発行)

「人とペットの災害対策ガイドライン」<一般飼い主編>(環境省 平成30年9月発行)